2011年12月30日

進行の形を決めて即興演奏をする練習1

以前もどこかで書いたかも知れませんが、クラシックはいわゆる「お約束」のような進行や音形がいろいろあります。そういったものを即興で使えるようにするための練習として、ある程度前もって考えた枠組みのなかで、即興で曲を作っていく、という練習をしています。

まったくの白紙から即興するのではなく、簡単な設計図のようなものを作って、その設計図に当てはまる形で即興するという練習です。

これは、結局のところ「作曲する」という行為であるので、よくあるアドリブ練習とはまたちょっと違った感じのものになります。「クラシックな音楽」の作曲に慣れるためにも、この練習はいいのではないかなと思います。

なので即興演奏というより、作曲理論に近い話になってしまいますが、我慢してくださいね。


ちなみにこういう練習を繰り返していると、普通の作曲をするのがとんでもなく速くなります。まあ、5分の曲を5分で作る練習をしているわけですから、速くなるのも当然といえば当然です。

たとえばメロディーを渡されて、これに伴奏を付けてください、なんていうような事をするときなどはすごく速くできるようになります。即興の練習は、遅筆に悩んでいるミュージシャンにオススメですよ。僕の場合は、曲を作るときに「ああでもない、こうでもない」と悩む事がほとんどなくなりました。


話が飛んでしまってすみません。

ひとつ、ソナタの第一楽章の出だしを作るつもりで枠組みというか、プランを考えてみましょう。下の動画はモーツァルトの教会ソナタです。もちろんこの曲にもお約束がたくさん使われています。



この曲のはじめの10小節は序奏となっています。なんで4小節や8小節じゃなくて、中途半端な10小節なのか、ですが、この曲の8〜9小節目は完全にカットして、7小節目の次に10小節目を弾いても、違和感なく聞けると思います。というよりそうすることですんなりきれいにまとまります。

ですから、この2小節をあえて付け足したのは、すんなりといっても面白くないから、ここはちょっと派手目にやってやろう、というモーツァルトの意図が入っています。「次の小節でドミナントへ進むだろう」という聴衆の期待を裏切って、「さあ、いまから始まるよ、始まるよ」ともったいぶっているわけです。この2小節をフォルテで強調させているのがいい証拠です。ロックミュージシャンがステージで「行くぜ!行くぜ!」と言って盛り上げるけど、なかなか次の曲にいかないのと似たようなものです(!?)。


というわけで11小節目からみていきましょう。11〜12小節目と13〜14小節目はよく似た形になっています。15〜18小節目と19〜22小節目も似たようなフレーズの繰り返しになっています。

これは重要なことですが、西洋の文化に「対称性を重んじる」というのがあります。建築でも、お城や宮殿などで中央から鏡で映したみたいに左右対称になっているのものがよくありますが、そういう対称性は音楽でも大事にされているのです。ですから、そういうことにも注意しながら曲を作っていくのがよいと思います。

もうひとつ最低限の作曲知識として、いわゆるカデンツの機能式を踏まえておくのが良いと思います。よく見かける

T-D-T
T-S-T
T-D2(S)-D-T

の3つの式のことです。つまりトニック・ドミナント・サブドミナントの機能と進行についてのお約束です。


それから、上のカデンツの式に関連して、和声学で使う基本的な進行として

・I→何にでも進める
・II→Vにしか進めない
・IV→VI以外の何にでも進める
・V→IとVIに進める
・VI→I以外の何にでも進める

というのがあります。表にするとこんなチャートができてしまいます。

譜例27 和音進行表

というわけで、次回は実際に「枠組み」を使って即興の練習をするやり方について説明します。

posted by いのじゅん at 23:03 | 即興理論
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